国をあげての防災訓練

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昨夜からキーンと耳鳴りが収まらない。半分眠りかけたところを、行政無線のチャイムに起こされた。「こちらは防災逗子です。津波警報が発表されました。海岸付近では高い所に避難して下さい」。

与六がビクッと顔を上げてフリーズ。テレビを付けると何度も繰り返される津波の高さと到達時刻。飼い主よりも熱心に画面を見入っているのは、よほど危機管理意識の高い猫なのだろうか。相模湾・三浦半島が2mの予想とは尋常じゃない。

津波警報にゃ 危険にゃよ

画面は逗子マリーナに変わり、係留中のボートを陸に上げている映像が映った。高台である披露山の駐車場に、早々と車を移動させた人のコメントまで流れている。心配になって小坪漁港の周りに住む友人たちに電話を入れた。
「みんな平気で歩いてるよ」
「うちなんて普通に営業してるよ」
周りからワハハと笑い声が聞こえ、拍子抜けするほど暢気な返事が返ってくる。それでも何かあったら家を避難所にしてくださいと告げて、待機することにした。

雪にも嵐にも負けない江ノ電すらストップ。全国19都道府県で57万世帯に避難勧告。首相官邸では鳩山総理が「絶対に海に近づかないで下さい。万全を期してください。一人でも釣りをなさってる方がおられるといけませんから、今徹底しているところです」と警戒を呼びかけている。

今か今かと待ち受ける中、予想到達時刻から1時間遅れで北海道花崎港に30cmの津波を観測。地震の専門家は「これが本体とは思えません。第2波の方が高い場合がある。周期が収まるまで、少なくとも5~6時間は警戒してください」と釘を刺す。その後本当に第2波は90cm。

やがて降り続いた雨が止んで、久しぶりの太陽が顔を出した。眩しそうに目を細める与六は、ハンモックでお昼寝体制。テラスから下を見れば、住宅に洗濯物が干されていく。カラスはアンテナの上で羽を広げている。パニック映画かと見まがうテレビのアナウンサー以外は、どこを見てもごく平凡な風景だ。

夢を見ているようなバーチャルな1日。午後4時を回り、沖に避難していた漁船たちも戻ってきた。海の近くに暮らす恩恵には、命のリスクが伴うことを実感しながら、国をあげての防災訓練が出来たことに感謝しよう。

横たわる遠い海の向こう、チリの地震で被害に会われた方々には心よりお見舞いを申し上げます。貴重な命が1人でも多く助かりますように。

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