無縁社会に垂れる蜘蛛の糸

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AERA(1月31日号)の特集にショッキングな記事が載っていた。
「ものすごく健康でいるか、ものすごくお金があるか、どちらかの要件を満たしていなければ、東京は住み続けることのできない街になってしまう」

 

東京都の調査(2009年8月)によると、特別養護老人ホームへの入居待ちをしている高齢者が44,000人。民間老人ホームは費用が高くて、限られた層しか入所できない。生産年齢人口が減り、団塊世代が70代後半になる2020年代は、福祉難民が大量発生するというのだ。
しかも東京都の4世帯に1世帯はマンション暮らし。顔も見たことのない隣の住人が、孤独死して数週間たっても気付かない社会になっていく。

 

かく言う私も、首都圏のマンションで一人暮らし。万が一の時に猫じゃ救急車を呼んでくれないし、「また結婚したらどう?」と友人は薦めるが、九分九厘その気はない。家事の負担が増えるのが嫌なのではなく、性格の出来上がった人間同士、気を使いながら同じ屋根の下に暮らすのが億劫なのだ。以前は彼氏が泊まりに来ていたこともあったけれど、「してやってる」的な恩を売られるのに嫌気がさして、干渉されない自由を選んだ。熟年離婚ならぬ熟年未婚だ。

 

この環境で年老いていくには、どう生活したらいいのか。自らを無縁社会に投じないために、周りとの接触を保つことは重要だ。一昨年、マンション管理組合から理事のお役目が回ってきた時には面倒臭いと思ったが、仕事を通して顔見知りが増えた分、元気で生きていることをアピール出来ている。
所属しているボランティア団体でも、来期から地区委員のお役目を頂き、新しい方々との縁が広がっていく。パソコンの前を離れ、しぶしぶでも外に出ていく機会が増える。

 

健康が不安、老後資金が不安、頼る身寄りもいない状況であろうと、こうして社会と接点を持てるように引っ張り出して貰えるのは、恵まれた身分だと思う。見えない誰かの愛に導かれていることに感謝しながら、明日への希望を繋いでいる。

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